フジ住宅裁判とは?ヘイトハラスメントだったのか?訴訟の真相を追求!
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ニュースなどでも話題となった「フジ住宅」という企業をご存知でしょうか?
東証1部にも上場しているフジ住宅はヘイトハラスメント疑惑の文書を社内で配布したとして、同社に勤務する女性から裁判を起こされています。

現在は二審敗訴の判決が確定し、フジ住宅側は最高裁に上告して改めて是非を問う方針であることを示しました。
提訴から現在に至るまで、時間的にも長期戦の様相を呈しており、また裁判の内容も複雑化してきている為、詳しい部分まで内容を把握できていない方も多いでしょう。

そこで今回は、フジ住宅裁判の全貌や高裁判決の要点などをご紹介していきます。
ヘイトハラスメントは本当にあったのか、フジ住宅裁判は今後どのように展開していくのかも触れていくので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

フジ住宅裁判:フジ住宅の基本情報

まずはフジ住宅がどのような企業なのか、基本情報からご紹介していきます。
フジ住宅株式会社は大阪府岸和田市に本社を置き、近畿エリアで住宅・不動産事業を手掛ける企業です。

1973年に今井光郎氏によって創業されたフジ住宅は、「日本一愛される会社」を目指し富士山にあやかって社名が付けられました。

2003年より東証1部にも上場する大手企業で、分譲住宅や住宅流通、土地活用、賃貸管理、注文住宅などを取り扱っています。

フジ住宅裁判:全貌を詳しく解説

フジ住宅に勤めている女性従業員が会社側を相手取り、裁判を起こしました。
ここからは提訴から現在に至るまでの経緯や、訴訟することになった背景をご紹介します。

提訴に至るきっかけ

原告側の女性は大阪府に住む在日コリアン人で、非正規社員として2002年から不動産関連会社に勤め始めます。
2008年にフジ住宅がその会社と吸収合併した後、社内である文書が配布されます。

この時女性はまだ「なぜ業務に関係のないものを配布するのだろう」と疑問に思う程度でした。

しかし、2013年5月に『マンガ日狂組の教室-学校が危ない!!』という本のコピーが社内で回覧されたことをきっかけに、女性は問題意識を持つようになります。

また、2015年には「教科書展示会」にフジ住宅会長自ら、育鵬社出版の中学校教科書の採択を求めるアンケートを従業員に提出するよう求めた(任意)ことも契機となり、女性は更に強い不信感を会社側に対して抱くようになります。

提訴(2015)

2015年、女性はフジ住宅に対して特定の民族を貶めるような内容の文書配布は止めてほしいと申し入れます。
しかし、聞き入れてもらえなかったと判断したため、女性は大阪弁護士会へ人権救済を求めました。

すると会社側から300万円を支払う代わりに退職することを提案してきたと主張しています。
これに納得できなかった女性は、同年8月にフジ住宅と同社会長を提訴することを決めたのです。

判決(2020)

2020年7月に大阪地裁による一審判決が下され、フジ住宅と今井会長に対して連帯して原告側へ110万円を賠償するように命じられています。

この判決にフジ住宅は、「日本での言論の自由を守るためにも、また弊社の従業員の精神の自由を守るためにも、最後まで弊社は当裁判を勝ち抜く所存です」とコメントし、控訴する意向を明らかにしました。

一審判決~控訴審の二審判決が下るまで

一審判決を受けてから、控訴審が始まるまでの間、一審判決の内容に関する資料は配り続けられました。それを受け、原告側はこうした資料を社内配布しないよう二審で差止請求を追加したのです。

2021年11月、大阪高裁はフジ住宅と会長に対し、132万円の損害賠償支払いと資料配布の差し止め、さらに原告を非難する内容の資料配布を直ちに禁ずる仮処分を下しました。会社側は資料配布に対して「差別目的で実施したものではない」と主張しています。

高裁判決では会社側に対し違法性を認めた点として、以下の3つをあげています。

  • 人種差別資料を大量かつ反復継続的に配布する行為
  • 提訴した原告に対して非難する資料を社内に配布する行為
  • 特定の教科書が採択されるよう、アンケートの提出などの運動に従事するような動員行為

ですが、いずれもフジ住宅側は人種差別の意図はなく、アンケートに関しては提出を強制もしていないと否定しています。

フジ住宅裁判:高裁判決

 

高裁判決が下され、おおむね会社と会長側に違法性があると認められましたが、実は違法性が認められなかった部分や判決に対する問題点もありました。

判決において違法性が認められなかった部分

先ほどもご紹介したように、裁判では資料配布の差止請求が命じられています。

実際に配布された資料を見ると、たしかにYouTubeの動画を紹介した画像の中で第三者(フジ住宅とは無関係)が書き込んだコメントの中に差別的文言が入り込んでいました。
ですが、会社側が意思を持ってそのコメントを取り上げた事実はありません。問題とされたのはそうした不当なコメントを塗りつぶすなどの配慮が欠如していたにあります。

また、配布された資料では産経新聞の記事や櫻井よしこ氏、西岡力氏など識者による評論も多数並べられています。
こうした部分から、高裁では「これらの文章類は原告女性を念頭に置いて書かれたものではなく、差別的言動とは認められない」と判断しているのです。

さらに、高裁では会社が配布するすべての文書に対し差止請求がなされているのではなく、あくまでも人種差別的表現が書かれた資料や原告を非難する内容の資料を配布する行為を差し止めるよう判決を出しており、論評による文書配布は問題ないとしています。

高裁判決の要点

今回の高裁判決をまとめると、下記、ポイントを中心に、報道で報じられている内容とは異なる部分が高裁の争点となったことが浮き彫りになってきました。

  1. 問題なのは不当な表現・コメントがそのまま資料として配布されたこと
  2. 資料の配布及び任意で読んでもらうのは問題ない
  3. メディアによる裁判及び判決の印象操作

特定の人種や民族を貶めるような表現やコメントが資料にそのまま記載されてしまい、配布されたことで今回の問題へと発展していきました。

もし会社側が資料配布の前に不当な表現・コメントを塗りつぶしていたり、「一部不当な表現です」などの注釈を付けていたりするなどの対応をしていれば問題にもならなかった可能性が高いです。

また、正当な評論と思われる文書を配布すること自体は会社の自由であり、それに対して高裁は問題視していないことが分かります。
問題なのは資料を強制的に読ませる行為が認められた場合です。
今回配布された資料はあくまで任意のものであり、強制的に読ませるような資料ではありませんでした。

一審判決後に社内で配布された資料の中で、従業員が書いた感想文の中に原告を批判するような内容の文言が散見され、さらにそうした批判文言を掲載した資料をそのまま社内に配布してしまったことで、高裁判決における賠償額も上がってしまっています。

そして、一審判決後からメディアは、原告の女性に対し、フジ住宅が一方的に差別をしたかのように見える偏向報道とも言える内容で報道されていることもありました。
こうしたメディアによる報道は、高裁でも当該報道は不適切だと判決文にも記載されています。
しかし、こうした内容は一切大手メディアでは報じられていません。

フジ住宅裁判:まとめ

 

今回はフジ住宅裁判とヘイトハラスメント訴訟についてご紹介してきました。
大阪高裁からの二審判決が下されたまでの内容をまとめると、以下のポイントが挙げられます。

  • 差別的表現が見られた資料は第三者のコメントが映り込んだだけであり、企業側が積極的に差別的表現を使ったわけではない
  • 最高裁でも資料配布自体は問題視しておらず、あくまで問題のあった一部の文書のみ差止請求を受けている
  • メディアの印象操作が見られるような報道がなされている

この結果から、フジ住宅側もあくまで対応に一部問題があっただけであり、原告の女性を貶めたいと思って資料を配布していたわけではないと考えられます。

大阪高裁の判決を受けフジ住宅側は敗訴しましたが、最高裁まで上告する考えを示しています。
最高裁ではどのような判決が下されるのか注目していきましょう。

また、今回の訴訟とは別にもう1つの訴訟が注目されています。

それがブルーリボンバッジの法廷着用をめぐる裁判である「ブルーリボン訴訟」です。

こちらについては以下の記事をあわせて読んでみてください。

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