講談社、紙とネットの共存を図った「デジタル事業」で出版不況を吹き飛ばせるか
当記事は取材費や広告費をいただいて記事を掲載しています。アフィリエイト、アドセンス等も活用しています。

今回は、日本を代表する大手出版社「株式会社講談社」について調べました。講談社・集英社・小学館の3社が業界最大手といわれています。その中の講談社は、「おもしろくて、ためになる」をモットーに、戦前から長きにわたり様々な本を出版しています。

昨今は出版不況と呼ばれ、紙媒体が売れにくくなっています。講談社は、この危機をどのように乗り越えようとしているのか?会社の内情を調査しました。

 

会社概要

株式会社講談社の会社概要は、1938年に設立され雑誌や書籍などの出版を行うことを主な業とする企業です。講談社の歴史・沿革は、1909年に野間清治さんによって弁論雑誌を発行するための会社である大日本雄辯会を設立したことが嚆矢です。1911年に現在の社名である講談社に改称し、1938年に2代目の社長である野間恒さんが株式会社に改組しています。

面白くてためになる本のモットーにして事業を拡げ、戦後は集英社や小学館に並ぶ出版大手にまで成長しました。近年の活動内容は、紙媒体メディアに加えて、デジタルメディアにもかなりの力を入れています。

 

講談社は出版不況をどう乗り越えようとしているのか?

講談社の事業内容の強みは、コンテンツの多彩さにあると言われています。紙のメディアを主な媒体としていた出版業界はインターネットの急速な普及で売り上げを落としています。これを「出版不況」と呼びます。講談社も例外なくこの出版不況の波に飲まれました。

一時は年間売上高が2000億円を超えていたこともありましたが、出版不況の影響で徐々に売上が低下してしまいます。2002年には戦後初の赤字となりました。2006年には売上高が1456億円まで落ち込み、小学館や講談社に売上を抜かれるなどの苦しい状況が続いています。

講談社は出版不況への対策として、いち早くデジタル事業や版権事業に目をつけ、2005年にデジタル専門部署を創設しました。デジタル部門はすぐには業績が上がりませんでしたが、徐々に好業績をあげるようになり、現在に至ります。

講談社はその多彩なコンテンツの強みを生かして海外事業にも手を広げ、大きな売り上げを維持し続けています。権利ビジネスでも収益を上げ、盤石ともいえる収益モデルを作り上げました。

 

デジタル事業をコツコツと展開し、2016年ついに黒字へ

紙とネットを共存させるために生み出されたデジタル事業と版権事業。2005年に創設され、10年以上の歴史を積んできました。創設当初は思うようにはいきませんでしたが、講談社の電子書籍への注力は徐々に実を結び、ついに2016年11月期単独決算が3年ぶりの増収増益を果たすのです。

2016年は講談社の本でベストセラーがなかった年なので、強力なコンテンツのおかげ(つまり一時的な増収増益)というわけではなく、講談社の電子書籍化などの取り組みが好業績を生み出したとしてその背景が注目を集めました。

電子書籍を中心とするデジタル分野の売上高は前の期比44.5%増の175億円に伸びた。コミックを含む雑誌が7.4%減の627億円、書籍が1.1%減の173億円にとどまったのとは対照的だ。(出典:日本経済新聞

今や講談社の人気コンテンツは、日本だけでなく海外でもヒットを飛ばしています。人気コミックや社会性の高い書籍なども英語版で配信をし、多くの人に読まれているのです。いち早く時代の変化に対応し、紙媒体にこだわらず電子書籍ビジネスを進めた講談社だからこそ、世界中に優良なコンテンツを届けることに成功したのです。

 

社員からの声

講談社で働く人の口コミや評判は、概ね”高い”です。しかしながら、「全てに満足している」という意見はあまりなく、良い意味でも悪い意味でも伝統的な日本企業体質であることを指摘する意見や、体育会系的気質を指摘する意見が少なからず存在しました。

講談社の企業文化や組織体制は、長い歴史を誇るだけあって、古い体制を持っている点や大企業的だという点をあげる声があります。

安定的でよく言えば紳士的で悪く言えば大企業の典型だとも言えます。東京一極集中で転勤はほとんどありません。

割とトラディショナルで働いている人は頭が良い人が多いと思います。

非常に体育会系で、知力はもちろん体力を必要とする会社です。どちらもないとついていくのが厳しい会社であるとも言えます。

部署によりますが、全体的に古い体質が残っている企業です。

忙しい人は忙しいが、毎日生き生きとやりがいをもって働いている人が多い印象があります。

と「忙しく古い体質は残っているものの、安定していて体力と知力がある人には居心地が良い」と思わせる意見が目立ちます。

 

次に講談社の給料や福利厚生に関する評判はみてみましょう。給料や福利厚生など待遇面は多くの人が高い評価をしています。しかしながら、年功序列的側面が強く、入ったばかりの人には若干不満が残るようです。

長く働けば働くほど給料は良くなっていきます。今時珍しいほど超がつくほど年功序列型制度です。

給料は非常に高く、特に編集では30になるまでに1000万円を超える人もいます。

正社員の給料もだが、契約社員など非正規雇用間の給料も差が非常に大きいです。非正規だと年収300万円程度です。

と給料のよさをあげる人が多い反面、給料の格差が大きいことを指摘する意見が目立ちます。出版業界はワークライフバランスの兼ね合いが難しいと言われていますが、講談社も例外ではないようです。“甘い考えではとても務まらないほど厳しい職場環境だと思います。仕事偏重にならざるを得ません。

編集でいる限りはプライベートの時間はあまりないです。基本的に何をしていも仕事のことばかり考えています。

編集部門では昼夜逆転など仕事はとてもハードです。

と多くの人が仕事重視の傾向であることを指摘しています。しかし、部署によるようで、

私が配属されたところは定時退社で残業もなく、ワークライフバランスは非常に調整しやすかったです。忙しい部署は夏休みの消化がほとんどできませんが、そうでない部署もあります。

との意見もあります。

 

講談社の書籍への声は?

講談社の商品やサービスに対する口コミや評判は、概ね良いものが多いものの、取り扱っている書籍の数が非常に多いこともあり、全部が良いというわけではありません。多彩なコンテンツを揃えているだけあって作品によって好みも分かれますので、作品によって低い評価が付くのは仕方ないとも考えられます。

では、講談社が誇る人気書籍のうちの幾つかの声をご紹介しましょう。まずは、映画化された大ヒット作「進撃の巨人」に関する意見です。この作品は概ね高評価がされているものの中には辛辣とも言える意見もあります。

心理描写がとても良い作品です。敵味方に分かれてしまった昔の仲間を思うシーンなどがたまらなく好きです。

グロが平気な友達はほとんど全員読む名作です。

このマンガに出会えて本当に幸せです。主人公は一人ではありません。それぞれの登場人物に感情移入してしまうストーリー展開がとても良いです。

とストーリーや心理描写の素晴らしさをあげる声が目立ちます。「このマンガに出会えて本当に幸せ」という感想は、作家冥利に尽きる嬉しい言葉だと思います。

しかし、中には

評価が高いので面白くなるのを期待してずっと読んでいたのですが、面白さを実感することなく終盤まできてしまいました。ストーリーが面白くないです。

途中までは面白かったのですが、途中から話が大きくなりすぎて訳が分からなくなり、次第に面白くないと感じるようになりました。

と好意的とは言えない意見がない訳ではありません。長編ストーリーはずっと読者を飽きさせずに心を掴み続けるのが難しくもありますね。

 

多くの人がトリックを理解することが出来なかったと話題の「ハサミ男」という書籍があります。こちらは非常に賛否が分かれる内容のようで、全員に受け入れられたわけではないようです。

最初から最後まで興味を惹かれる作品でした。ネットでも評判のこの作品を読もうと思い、読みましたが、読みやすくて面白かったです。

読後のドキドキ感が凄くて、しばらく仕事が手につかないほどです。読み始めても仕事が手につかず、読み終えても仕事が手につかなくなります。

ちょうど良いところで章が区切られており、疲れずにすらすらと最後まで読むことが出来ました。すっかり騙されてまた、読み返してみると素直に上手いと思いました。

とストーリー展開や肝心なトリックで好意的な意見が目立ちます。しかし、一方で、

レビューの評価が高かったので期待して読みましたが、あまりのつまらなさにがっかりしました。文章構成力もなく正直どうしてこの作品が評価されているのか分かりません。

トリックは壮大だと思いますが、読みにくいと感じました。

と辛辣ともいえる意見も中にはあります。

 

総括

講談社は小学館・集英社と並ぶ日本3代大手出版社のひとつです。近年はインターネットの普及により紙媒体が売れにくくなるという出版不況に陥っていますが、講談社の業績は好調です。

その背景には、いち早く創設した「デジタル事業」と「版権事業」の存在があります。時代の流れに逆らわず、書籍の電子化を進めたことにより、今や講談社の書籍は日本だけでなく世界中で多くの人に愛されています。

講談社で働く人の口コミは、総じてやや高めの評価です。特に給料や福利厚生などの待遇面では、長く働いている人を中心に高い評価をつけている人が多いです。また、編集部署はプライベートを調整することが難しいほど忙しいものの、30歳までに年収1,000万円を超えることもあるとされています。

ただ、講談社で働く人の中には契約社員など非正規の社員の方もおり、また、正社員でも長く働いている人とそうでない人、部署によって給料や働き方にかなりの差があることが伺われる意見が目立ちました。会社内でかなりの格差がある企業だと考えられます。相当な年功序列との評価もありますので、この点に納得できないと不満が残る会社だともいえるでしょう。

多くの人に好まれる作品は多数ありますが、やはり万人受けするコンテンツを生み出すのは難しいといえるでしょう。例えば、進撃の巨人という日本で4,000万部以上売れた講談社のヒット作は、多くの人が高い得点で評価していますが、数%の割合は良くないとしています。

これはエンターテイメントの世界に置いては致し方ないことであると思います。人にはそれぞれ歴史があり、背景も様々で、感動する部分も異なることから、全員が納得する作品を作ることは難しいからであると推察されます。読者の意見に共感することは大切ですが、「万人受け」を意識しすぎると冒険ができず、かえってつまらない作品になる危険性があります。

読者の意見もとりいれつつ、作者や講談社の意向を尊重した作品がベストであると思います。今後も世界中の人々に愛される作品を沢山出版し続けてくれることでしょう。

 

 

スポンサーリンク
おすすめの記事