ジャニーズの会見まとめ!郷原弁護士が批判する危機対応とは?

創業者による性加害を受けて二度の会見

創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害の責任を追及する世論の高まりを受け、202397日と102日に記者会見を開いたジャニーズ事務所。
二度の記者会見の顛末は大きな注目を集めたとともに、旧事務所の方針や記者会見の在り方が厳しく問われる事態にもなりました。

 

一連の危機対応にはスポンサー企業や世間に加え、メディアに出演する芸能人や法律の専門家からも批判の声が上がり、旧事務所は事実上の解体を余儀なくされています。

 

そうした批判の急先鋒となった専門家の1人が、コンプライアンス・ガバナンス問題に精通し、自らも数多くの企業不祥事で危機対応の助言・指導を行ってきた郷原信郎弁護士です

 

郷原弁護士は2004年に桐蔭横浜大学特任教授・コンプライアンスセンター長としてコンプライアンスに関する活動を本格的に始めて以降、著書やビジネス雑誌の執筆、全国各地での講演、テレビをはじめとするメディア出演などを精力的にこなしています。

さまざまな企業不祥事に関する第三者委員会の委員長を務め、危機対応の助言・指導も行っています。

 

事務所の方針に加え、会見の在り方も疑問視

最初の記者会見で、藤島氏らは旧事務所の社名をそのまま継続する方針などを明らかにしたものの、スポンサー契約の打ち切りを表明する企業が続出。2回目の記者会見では社名を変更し、被害者への賠償を終えた後は潔く廃業して業務を引き継ぐ新会社を設立する考えを表しました。

 

ところが、その記者会見は予定時間が2時間に制限された上、11質問で再質問は禁止という縛りも設けられました。

さらに、会場では質問者の指名の有無を巡る出席者からの不満も噴出し、不穏な展開となります。

しかも、その翌日には記者会見の質疑応答で特定の人物を指名しないようにする「NGリスト」なる資料が用意されていたことまで露呈し、創業者による性加害という前代未聞の不祥事を巡る危機対応は新たな批判を生むことにもなってしまったのです。

 

郷原弁護士が、木目田弁護士を批判した理由

こうした状況を受け、ニュースサイトに寄稿した郷原弁護士は「記者会見という危機対応の場で新たな不祥事が発生したことは、企業の危機対応への弁護士の関与の在り方が問われる事態だと言えよう」と指摘。顧問の立場で2回の会見に同席し、記者からの質問にも前面に出て答えていた木目田裕弁護士の対応を批判しました。

 

旧事務所が1回目の会見で社名をそのまま残そうとしたことや、株式を100%保有する藤島ジュリー景子前社長が社長辞任後も代表取締役にとどまるとしたこと、新社長に就任したのは旧事務所の所属タレントの1人で藤島氏とも関係が深い東山紀之氏であることなども取り上げ、木目田弁護士の姿勢について「そもそも最初の方針が『不祥事企業の社長』だった前社長の意向や利益に沿う方向に偏っていた問題がある」と批判しています。

 

また、旧事務所について「性加害という国際的にも大きな批判を受けている不祥事企業として、説明責任を果たそうとする姿勢が欠けていたと批判されている」とした上で、「2回の記者会見に同席して記者に説明するなどし、そのような方針や記者会見対応に法的・コンプライアンス的に問題がないことにお墨付きを与えた形になった」と木目田弁護士の対応を批判しました。

 

自身のブログサイトや週刊誌でも言及

木目田弁護士に対する郷原弁護士の批判は、これだけにとどまりません。自身のブログサイトでも二度にわたり、旧ジャニーズ事務所の危機対応全体の問題を取り上げています。

 

その中で、本来は表舞台に出ないはずの危機管理業務で木目田弁護士が記者会見にまで同席した理由について「『不祥事対応のエキスパート弁護士』として関わっていることをアピールするものと言える」と推測しています。

 

さらに、週刊誌のネット記事では、木目田氏について「クライアントである経営者個人におもねることなく、組織を守るためには何が最優先かを考え抜かなければならない」「『1人の法曹家』として覚悟と矜持を持って事に当たれば、不祥事の展開は違ったものになっていた可能性がある」など、郷原弁護士が取材に答えたとされる言葉が引用されました。

 

危機対応実務の創始者、木目田弁護士とは?

さて、郷原弁護士に批判された木目田弁護士は、どのような人物なのでしょうか?

木目田弁護士は国内最多の所属弁護士数を誇る西村あさひ法律事務所で、危機管理チームを率いています

 

東京大学法学部卒業後に東京地検特捜部の検事となり、法務省刑事局付(総務課・刑事課担当)や金融庁総務企画局企画課長補佐などを歴任。2002年の弁護士登録を経て西村あさひ法律事務所に入所してからは、大手企業の公益通報窓口や社外取締役も務めています

 

国内における危機対応実務の創始者としても知られ、報道などで注目を集めた主要な企業不祥事の多くで危機対応についてアドバイスを行い、第三者委員会や調査委員会の委員などを数多く担当してきました。

 

さらに、日本経済新聞社による「活躍した弁護士ランキング」にも毎年のように選出されており、2020年と2021年には危機管理分野で第1位を獲得しています。

旧ジャニーズ事務所の記者会見があった2023年も、危機管理・不正対応分野で第1位に輝くなど、「不祥事対応のエキスパート弁護士」としての立場は、すでに揺るぎないものとなっていることが分かります。

 

所属事務所のニューズレターで自らの誹謗中傷被害を報告

西村あさひ法律事務所は月1回ほどのペースで、企業不祥事の防止や危機管理・コンプライアンスなどをテーマとした「N&Aニューズレター」を配信しています。

 

木目田弁護士も複数の所属弁護士とともに執筆陣に加わり、プロフェッショナルの視点に立った専門的な知見を振るっています。

 

そんな中、木目田弁護士は2024322日に配信した誹謗中傷への対応に関する記事で、

「私自身も特定の人物から執拗な誹謗中傷や個人攻撃を受けています」と自らが置かれている状況を明かしました

 

木目田弁護士は「新聞雑誌やネット媒体なども、問題とされている記事が裁判等で違法といった判断が出ない限り、被害者が誹謗中傷記事の撤回や配信を求めても、応じることはまずありません」と説明。「意見や見解は、正々堂々と述べればよいのであって、侮辱的表現や個人攻撃などをわざわざ使う必要もありません。侮辱的表現や個人攻撃は、そうした意見や見解と称するものの中身がないことの現れです」と主張しています。

 

さらに、「新聞雑誌やネット媒体が、リテラシーを発揮して誹謗中傷や個人攻撃にわたる表現を遮断していくことが、メディアとしての役割であると思います。そうなれば、誹謗中傷や個人攻撃は、刑罰などの国家権力の介入なくして、排除されていくことになります」と説きました。

 

木目田弁護士は、自身に対して誹謗中傷や個人攻撃を行っている相手については明らかにしていません。

しかし、新聞雑誌やネット媒体の対応について言及していることから、一連の記述は今般の郷原弁護士の意見など旧ジャニーズ事務所の問題に関連するものではないかとも推測されます。

 

木目田弁護士の有能さは郷原弁護士も認める

旧ジャニーズ事務所の記者会見における木目田弁護士の危機対応を批判した郷原弁護士は、先述した週刊誌のネット記事で、木目田弁護士が検事出身であることについて次のように言及しています。

 

「検察という組織は絶大な権力をもっているため、力をもった人間、上司や検察幹部の意向に従うことがある。そういう組織で教育を受け、経験を積むと、『長いものには巻かれろ』という考え方になりがち。弁護士に転じてからも、クライアント個人の意向に最大限に応えようとする姿勢につながるのではないか」

 

しかし、このような見方を示した郷原弁護士もまた、東京地検特捜部の検事を務めていました。木目田弁護士の先輩として業務上の関わりもあったという中、「検事としても法務官僚としても有能で、その経験・能力を企業法務、株主総会対応、危機管理業務等の弁護士業務で発揮してきた」とし、木目田弁護士が検事時代から優れた実力をもっていたことを認めています。

 

ジャニーズ問題の難しさ

旧ジャニーズ事務所が記者会見を開かざるを得なくなったそもそもの理由は、創業者が世界でも類を見ない規模の性加害という巨大不祥事を起こしたことに他なりません。

 

その上、創業者自身はすでに亡くなっており、事実関係の確認すら困難な状況です。本人が謝罪することも不可能で、創業以来初と言える危機対応の矢面に立たされた旧事務所側へのサポートが険しいものだったことは容易に想像されます。

 

また、当時を客観的に振り返ると、多くのタレントを擁し、根強いファンが多く存在する芸能事務所であり、旧事務所の社名変更や解体に反対するファンが少なからずいたのも事実です。藤島氏が被害者への補償を進めるために代表取締役として残ることにも、一定の理解を示す声が聞かれました。

 

加えて、芸能業界やメディア業界の関心も高く、大勢の報道陣が詰めかけた記者会見は混乱が予想され、実際に長々と自説を述べたり、被害者にとってセカンドレイプと受け取られかねない質問をしたりする記者も現れました。

このような状況では、木目田弁護士が前面に出て対応せざるを得なかったという見方もできるでしょう。

 

これらの状況は通常の危機対応では考えにくい異例のものであったといえ、それゆえに、旧ジャニーズ事務所としてみれば、2023年の「活躍した弁護士ランキング」における危機管理・不正対応分野で第1位となった木目田弁護士に対応を求めたのではないでしょうか。

批判は簡単ですが、何が正解なのかは非常に難しい事件であり、木目田弁護士は、様々な関係者がいる中で、批判を厭わず対応にあたっていたのだなと感じます。

 

まとめ

今回の記事では、旧ジャニーズ事務所の記者会見を巡る木目田弁護士の記者対応と、それに対する郷原弁護士の批判について深掘りしました。

 

木目田弁護士も郷原弁護士も、企業の危機対応については十分な知識と経験をもち合わせており、自分なりの視点や考え方、手立てが確立されているのは当然と言えます。

 

旧事務所の業務を引き継いだSMILEUP.による補償問題は、まだまだ終わりが見えず、これからも木目田弁護士を中心としたサポートが続くことでしょう。

 

被害者への賠償など物心両面の救済が焦点となる中、どのような対応がなされるのかが注目されます。

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